ウクライナ情勢をめぐり、日本もロシアへの経済制裁を強めています。
しかし、その影響で国内では「木材」の価格高騰が懸念されています。
住宅の、柱や内装の下地には、加工しやすい「アカマツ」が多く使用されています。
しかし、ウクライナ情勢を受け、政府はロシアへの追加制裁としてロシア産の木材やウォッカなど38品目を今月19日から輸入禁止にしました。
「アカマツ」も輸入禁止の対象に含まれます。
いま、アメリカや中国での住宅建築数が急激に増え、価格が急激に高騰するという事態が起きており、1970年代のオイルショックになぞられ「ウッドショック」と呼ばれています。
それに加え、ロシアへお経済制裁で木材の流通量が減るとなれば当然の事ですが木材料の価格も上がってきます。
カラマツ材は、マツ科であるため、スギよりも硬く、粘りのある材質です。
年輪や木目は赤みを帯びており、力強い印象を受けます。
また針葉樹であるため、幹は真っ直ぐに成長し、木材として利用しやすい樹木です。
さらにカラマツは、樹脂分が多いことから耐水性・耐朽性が高く、建築材でも特に土台や土木用材、杭木、枕木などに重宝されています。
しかしこれらの優れた特性を持つカラマツですが、枕木や電柱用材の需要の低下と共に影を潜めていました。
またカラマツは、心材の樹脂分が多く乾燥すると固まる性質があります。
さらに、ねじれながら成長するという特性があり、木材として用いる際には、十分に乾燥させないと狂いが生じるという問題があります。
その結果、時には建築用材として選択されなかった時代もあります。
しかし近年では、乾燥技術や製材・木取の技術の進歩により、これらの問題が解決されています。
そのため、もともと資源豊富なカラマツは、技術の発展により、長所を最大限に引き出され、近年注目される樹木の一つとなっています。
このようにカラマツ材は、近年価値が見直され、需要が高まっています。
くっきりとした木目と飴色が特徴のカラマツ材は、カントリー調から和風まで様々な空間に適しています。
また、力強い木目を持つカラマツは、フローリングにするとメリハリの効いた独特の風合いになります。
また強度を生かし、柱や構造材、外壁材としても適しています。
このようにカラマツ材は、「総桧(ヒノキ)造り」のように、建築物のあらゆる部分に利用可能な木材でもあります。
ロシアの針葉樹原木の最大の輸出国は中国で、全体の実に80%を中国への輸出が占めています。
逆もしかりで、国内の木材需要が高まり続ける中国にあってロシアは最大の木材供給国として、完全に依存状態にありました。
これまでの丸太ビジネスは「ロシアが原木を中国に輸出し」「中国の安価な労働者が加工し」「日本など第三国に輸出する」というモデルによって成り立っていましたが、ここにきてロシアが原木の輸出をストップする宣言を出しました。
特に日本のフローリング、建材メーカーなどはこのビジネスモデルで製造された木材製品に多く依存しており、今回の長期にわたる深刻なウッドショックの原因の一つに繋がっています。
このロシアの原木輸出禁止の決定には諸説あります「国内の木材加工従事者にお金をおとす」「国内の木材加工事業の長期的発展」といった健全なものから「ウッドショック以降国による囲い込みが行われる木材の確保」「中国への政治的牽制材料」などが挙げられています。
特に、この実質的な禁輸令でもっとも割をくうのは中国の木材加工者で、露中の蜜月関係に影響を与えると言われています。
そもそも、中国の木材加工工場の多くはロシアから近い内陸部に位置していましたが、今後ロシアからの輸入がストップするとなると、中国は関係の悪いアメリカやその他欧州諸国に頼らざるをえなくなります。
いずれにせよ、丸太の調達には船を使用しなくてはならず、世界的なコンテナ価格の上昇、内陸部にけん引するための輸送費等含め、世界的な木材・製材価格に深刻で長期的な影響を与えることが予想されています。
「2年前に一軒3000万円だった家が、いまだったらいくらくらいにねりそう?」
関係者の話だと「10~20%くらい上がっていると思いますので、3600万円くらいになってくるのでは」との話を聞きます。
アカマツの代替品として、中国のLVLという木材がありますが、このLVLにも木材高騰の余波が押し寄せています。
「価格的のはやはりこちらの方が安いのですが、アカマツが上がってくれば、当然LVLも相場として上がってきますんで。追いかけっこみたいな感じで、上がれば上がるという形になってくるのかな?」との事。
こうした木材の価格高騰で建築コストは膨らむばかりです。
マイホームの夢はさらにとうのいてしまうのでしょうか?
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